今回はジョンとの話です。今でも良く一緒に仕事をしているので「昔の話」ではないかもしれないけれど、古くから仲がいいので一応お話しておいた方がいいかな〜系・・ということです。
ボクがジョンと出会ったのはもう20年位昔のことです・・。当時のボクは、アレンジやプロデュースをよくやってて、仲の良かった東芝EMIのプロデューサーが、ジョンの新しいアルバムのアレンジャーとして、ボクを指名してくれたのがきっかけです。
最初のジョンの印象は「変わり者のアメリカ人」といった感じでした。尺八!?民族音楽!?・・当時アイドル達のアレンジャーであったボクにとっては「どうしようかな〜」的「?」が率直な印象です。 |
それでもまずは尺八の構造を勉強し、編成に入れるという琴、十七弦を勉強し、さらにロック、ジャズのエッセンスを取り入れ、一生懸命アレンジをしてみました。そして、レコーディングに数日間、トラックダウンに徹夜を含む数日間をジョンと付き合い、アルバムが完成する頃にはもう長年の友達みたいな信頼感が出来ていました。
このアルバムが「将軍」で、アメリカでジャズのチャートに入るヒットとなったのです。
このレコーディング以来ボクとジョンは、普段は別々の仕事をしつつも、ことあるごとにライブやレコーディングでお互い仕事を頼みあうことが多くなりました。
ジョンとはいろんな仕事をしました。ギターと尺八のデュエットから、比較的大きな編成のアレンジされた音楽まで本当に様々です。ビータもいろんなところへ行きました。日本ばかりでなく外国も沢山いきました。アメリカ、フィリピン、香港、シンガポール、マレーシア、インド、ドイツなどです。
不思議なことに世界中どこへ行ってもプロ、アマを問わず尺八をやっている人が沢山いて、愛好家も多くどのコンサートも満員御礼!(ジョンは本当に世界的尺八奏者なので、よく考えれば不思議ではないのですが・・)しかもその土地のミュージシャンとの共演も多く、ボクにとっても大変いい経験をさせてもらいました。世界各地のミュージシャンと友達になれば、夜遊びも当然面白いところへ連れてってもらうことが出来ます。普段ボクは特に旅行が好きなわけではないので、遊びで旅行には行きませんが、仕事のビータで楽しい思いを沢山しているのです。(そのかわり彼らが東京に来たときはボクが安くて美味い店や、ヒップなジャズクラブへ連れていくので、それはそれで、彼らにとっていいビータなのでしょうね!) |
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「将軍 SHOGUN」
(初めてジョンとのアルバム!アメリカのジャズ部門でチャートインしました。ブラスぎんぎんサウンドです) |
 | 「鶴 TWO IN FLIGHT」
(ボーカルが入っています。かなりポップな路線を意識して作編曲しました)
※この2枚以外は現在も発売中です。「今の話」をご覧下さい!
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こんな話は直接したことはありませんが、ジョンとボクは基本的に目指している音楽は異なっているかもしれません。ジョンは日本の音楽と、民族音楽(特にインド音楽)にジャズのエッセンスを加えた音楽を目指しているように思います。ボクはストレートなジャズと少しポップな音楽を目指しています。だから毎日一緒の仕事でプレイしてたらお互い煮詰まってくるかもしれません。大体ボクは飽きっぽいので、同じバンドで長期間に渡って演奏するのは苦手です。でもジョンもきっと同じことを感じているでしょう。それでもお互いに対する尊敬(リスペクション)があるから、「なるほどこんな事を考えているんだ・・」と刺激があったり勉強になります。何よりジョンの音楽に対する真摯な態度がボクに伝わり、信頼感が生まれ、この信頼感が僕たちの音楽に現れ、結果としてお客さんを楽しませることができるのではないかと思うのです。
ジョンは日本の伝統的音楽の世界にいますが、根本的にカリフォルニアンです!若い頃からサーファーで、ロック少年で、ハンバーガーが好きで、GパンにTシャツです。ボクも(アメリカかぶれと言われるかもしれないけど)似たようなところがあるので、思考回路が共通しているところがあります・・。たとえばボクがあまり好きではないなぁと思う人のことをジョンも同じように感じていたり、一緒にいてもお互い関知しない部分があったり・・、あまり気を遣わなくても大丈夫的な関係が気楽なんですね。
あまりジョンのことをばらしてしまうと、営業上都合の悪いことがあるかもしれないのでこれ以上はやめておきましょう。(笑)
ジョンさん、また仕事下さいね!! |