いろんな話
(楽屋話やまじめな話など)
あんびえんすギターの話楽屋話
アイドルの頃・・

 伊藤咲子 相本久美子 大場久美子 山口百恵 桜田淳子 岩崎宏美・・・・

   昔のこと(こればっか・・)なのですが、アイドル系歌手の仕事を沢山していました。 このころはアイドルといっても、その音楽はけっこう面白い内容のものがたくさんありました。当時のレコード会社にとっても大きな収入源だったのでしょう、制作費もかなり掛けることができたのです。色々実験的試みや、新しいサウンドを試していたように思います。シングル盤全盛でしたから、B面に関してはかなり大胆なこともできたのです。プロデューサー、作曲家、作詞家、アレンジャー、ミュージシャンなど周りのスタッフも「きちんとツボを押さえられるプロ」で固められていました。

 T社というレコード会社にはSさんという名物プロデューサーがいました。その人はラテン系気質で、音楽に対する熱い思いをすごく表に出す人でした。この人のおかげで沢山の面白い仕事をしました。
 はじめはB面アレンジをさせてもらって、だんだんとメジャーな仕事へとステップアップして最終的にはあるアイドル歌手の音楽監督(つまりバンマスおよび萬承り係)をつとめ、引退公演を武道館でやるまでになったのです。
 アイドルの方々には歌の下手な方もいました(失礼!)。彼女らの多くは事務所やプロデューサーその他のスタッフの言うとおりの立ち振る舞いをし、ほとんどが自分の個性とか主張はしませんでした。ただただかわいい子を演じてように思います。でもそのころのプロによって準備されたかっこいいサウンドは体に染みついていたので、後の仕事で「なんでこんなしょぼい音がするのかな〜?」と感じたそうです。(本人から聞いた話です)面白いことだと思いませんか?

 話しは変わりますが、今の新人の歌手の方々はほとんどがアマチュアバンド経験者です。このことがかえって問題を含んでいます。というのは、昔のようになにも分からない新人タレントには本当のプロのサポートが不可欠なのですが、最近のようになまじ経験があるとアマチュアバンドのレベルでOKになってしまい、本当に豊かでクオリティーの高いサウンドを知らないままスターになってしまうからです。本当の歌手になるにはスターになってからの勉強や練習が必要なのですが、本当に良い歌を歌えるようになった頃にはすでに人気が下降線で、仕事があまり無い・・といった悪循環に陥ってしまうケースが多いのです。下手な歌が世の中に溢れ、旨くなった頃には誰も聞かない・・これって寂しいよね。この状況を改善する方法はただ一つ、「下手な音楽は聴かない、良い音楽を聴く」なのです!

 ボクは商業的音楽を否定はしません。存在する理由が必ずあるからです。でも存在する理由がなるべく音楽の質であってほしいと思っています。