いろんな話
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あんびえんすギターの話楽屋話
Combat ProtoType Telecaster

 ボクのソリッドギターに関する歴史は1968年頃にさかのぼります。

 その頃ボクはギンギンにジャズを志す少年でしたから、Gibsonのフルアコ(175)しかギターは持っていませんでした。でもミッキーさん(ミッキー・カーチス)や三保さん(三保敬太郎・故人)リチャード・パインその他で少しずつポップなグループとも演奏する機会が増えてきて、何となくソリッドの一本も持ってないと格好が付かない状態に感じになってきたのです。でも本当に欲しかったわけではなく、何となく・・・だったので当時知り合いのいた渋谷のヤマハで安物を買いました。あんまり愛着があったわけではないのでモデル名も覚えていないし、値段も覚えていません。(ヤマハさんゴメン!)

 その後スタジオの仕事をするようになって、いよいよ本格的なソリッドが必要になり、高校の友人でグループサウンドのバンドをやっていた奴から、当時でも古いテレキャスターを買ったのです。64〜65年のもので、中古だから安く売れ・・とか何とかいって、多分2〜3万で手に入れました。でも、シングルコイルの音がどうしてもなじめなくて、フロントだけGibsonのピックアップに替え、その後のボクのスタジオのメインの楽器として20年間ほど君臨したのです。
SCHECTOR TELECASTER
SCHECTOR TELECASTER
 その後、ぼろぼろになったこのテレキャスターをフレットの打ち直しや、塗装までお金を相当かけてキレイにしたのですが、直ってみたらそれまでの音と全然違ってしまい、じきに売ってしまいました。当時は楽器の知識もほとんど無く、ただキレイになればと思い修理したのがいけなかったようで、今なら絶対もっと上手にメンテができるのに・・悔しい!

 ・・てなわけで、次に買ったのがシェクターのテレキャスター。青山のレオ・ミュージック(当時は青山にあったのだ)で確か14〜5万だったと思います。このシェクターがその後の10年間スタジオでのメインの楽器となりました。
この楽器はローランド製ギターシンセのピックアップ(GK-1)を付け、今でも練習用、MIDI入力用にと使っています。


 がらっと話は変わりますが(突然の転調)ボクはテニスが大好きです。そんでもってボクが入っていたテニスクラブに昔から知り合いだった野口五郎のお兄さんがいました。カレは作曲家で、プロデューサーで、やはりギタリストでもある人です。以下、当時のクラブハウスでの彼との会話・・・
今でも現役!(これはこれでなかなか渋い音がする)

ボク「ね〜、オレ最近の楽器あまり良く知らないんだけど、何かソリッドでお勧めの楽器ある?」
カレ「ポール・リード・スミスなんかどう?」
ボク「あ〜それ知ってる。でも何かオレっぽくない感じ・・」
カレ「そうだね。ナオイさんテレキャスシェイプの方がしぶくていいよね。」
ボク「うん。オレの場合ソリッドとはいってもロックロックしている楽器より、ロイクぽい方があってる感じがするんだ。」
カレ「今ゴローが使っている楽器を作っているコンバットっていうメーカーがあって、一本そこのテレキャスシェイプがあるんだけど見てみる?車に入ってるから持ってくるよ。」
ボク「うん、見せて、見せて。」

 この楽器をその後ボクが使わせていただくことになるのですが、そのいきさつは次の通り・・・

 テニスクラブで初めて見たこの未知のソリッドギターは、まず形がすばらしくキレイ!木目のはっきりした虎目のナチュラルサンバーストがすばらしい!ネックもGibson系の形でボクの手にすばらしくなじむ!ホロウボディーであること!EMGのハムバッキング(シングルコイルタップ取り付き)・・・一目で気に入ってしまったのです。
COMBAT 2
COMBAT PROTO TYPE TELECASTER

COMBAT 3
ヘッドはテレキャスの形をしているが、後ろへ角度がついている。(335と同じ角度)ネックはGIBSONと同じディメンションです。インレイもGIBSON系。指版はハカランダー。
COMBAT 4COMBAT 5
この綺麗な虎目を見よ!空洞の加工は大変難しいそうです。ピックアップはEMGハンバッキングで、シングルコイルのタップ取りをしてある。バインディングも綺麗でしょ。ボディー裏の縁にはアールが付いている。はじめて見たときはスルーネックに見えたけど、実際はセットネック。接合部はとてもスムース。

 後日ゴローちゃんの事務所で、コンバットの金田さんという方と色々話をし、この楽器を基本に、ピックアップをもう少し太い音のするトムホームズを装着し、ボディーを少しだけ厚くし、空洞の容積を増やし、ジャズ、ブルースっぽさを増す・・といった方向でもう一本「ナオイモデル」を作って頂けることとなりました。(急に丁寧な口調!)

 数カ月後出来上がったナオイモデルとカレの一号機の両方をテストしながら、結局ボクは一号機をいただくことを決心し、ナオイモデルをカレに使ってもらうことにしました。理由は、新しいナオイモデルはスタジオでリズムカッティングなどをするとき、音が太すぎて軽い感じがしないこと、ボディーが厚くなった分、形がテレキャスとは違うものになってしまったことなどです。ここで教訓。色々な機能や目的を一つのものに求めるのは間違いで、一つの機能を完璧に果たす楽器の方が結局優れている・・ということです。ボクのわがままでカレや金田さんに多大なご迷惑をかけてしまい申し訳ありません。

 コンバットギターは最近そのクオリティーの高さで評判となり、野口五郎はもちろん渡辺香津美、松原正樹などが使いはじめ、メーカーとしての地位を確立しています。

 ・・・それにしてもボクのギターに関しては野口五郎ファミリーの世話になりまくっているな〜。ホントにどーもすいません!