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あんびえんすギターの話楽屋話
Maintenance

 今回は女性の...じゃなかった、ギターの修理やメンテナンスの話をしましょう。

 そもそも楽器というものは、当然ですが、いい楽器をいい状態で使いたい・・・とみんな思っています。弾きやすいけど音がちょっと・・とかその逆とかなかなか選ぶのは難しいものです。(似てるんだよなぁ)それでも長いこと使っていると段々慣れてなじんできます。(同じでしょ?!)でも、慣れゆくのと同時に、弦を変えてみたり、テンションを変えたり、ブリッジをいじくったりしながら楽器の方も少しずつ違ったものに変化するのです。そうやって自分の体のようになってくる頃になると、どこか修理が必要になるところが出てくるのです。これがけっこう問題なのです!(やっぱり同じだ!....えっ?)

 ボクも今まで何回となく楽器屋さんの世話になっていて凄くうまくゆく時もあれば、何となく変だな・・状態に陥る時もあります。

 昔、オールドのフェンダー・テレキャスターを使っていたのですが、あまりに古くなって汚くなっちゃったし、ハードウエアの修理も必要だと感じ、フレット交換、ボリュームとトーンコントロールの交換、それにサンバーストに全塗装・・と大修理に出しました。お金も10万円ほど掛かったと思います。結果は全くと言っていいほど音が変わってしまい、ボクにとっては取り返しのつかない失敗となってしまいました。

 教訓!楽器の修理は最低限の範囲にとどめること!修理に出すときは楽器屋さんと入念な打ち合わせをすること!どんな小さな修理でもサウンドは変わることを覚悟しなさい!

 それでは各パーツの修理交換についての注意点をまとめましょう。 まず上の方から・・。

ペグ(弦巻き)
 ペグにはギアが必ず入っています。長く使っているとすり減って段が付いたような感じがします。チューニングすると、どこかで急にピッチが変化してしまったり、演奏中に狂ったりしてきます。そうなったら交換です。ペグはある程度質量(重量)があった方が精度が高く、音も太くなります。グローバーや、シャーラーなどのブランドがボクの好みです。

名称説明イラストナット
 ナットも重要です。その硬さや重量が音色に影響を与えます。また、弦が乗る部分の溝の幅や深さは弾いたときのタッチに影響を与えます。ボクのIbanezのナットはブラスで、そのほかの楽器はアイボリーです。特にOvationのフォークは弦がのっている部分以外を削って凸凹状になっていて質量を下げることをしています。音色は軽く明るくなります。
 この溝は自分で削っている人もいますが、失敗すると元へ戻らず、楽器屋さんで結局交換しなければなりません。ちなみに、ぼくの友達のギター弾きは削った削りかすをアロンアルファでまぶし、ペースト状にしたもので溝を埋めて乾燥後削り直す・・という技を成功させたといっていました。
これだけは自作!
ギターイラスト!・・というより図解。
フレット
 フレットには色々な形があります。大きくはGibson系とFender系に分かれますが、今は微妙に異なる形状のものを選ぶことができます。交換後は指盤からの高さが当然高くなるので、タッチが変わった感じになります。摺り合わせといってわざと低くしたこともありますが、かまぼこ型の頂点を平らに削るのですから押さえるポイントが変わり、正確に言えば音程に影響があるはずですし、フレット自体の寿命も短くなってしまいますので、できれば慣れていった方が良いかもしれません。

ネック
 ボルト留めしてあるディタッチャブルネックのセットのしかたでも音は変わります。特にサステインに影響があります。微妙なセット位置と各ボルトの締め付けトルクがポイントで、とうてい自分ではやらない方がいいでしょう。このことが分かっているメンテマンもまだ少数で、ボクもまだやったことはありません。(怖くてできない)
 テンションロッドの調整は自分でもできますが、これも少しずつ動かし、あまりやりすぎない方が良い結果が得られます。でも、できればプロのメンテマンに頼んだ方がベターでしょう。

ブリッジ
 ブリッジはなかなかの曲者です。アコギ系のように削って高さを調整するものは特に注意深く扱う必要があります。自分でもやったことがありますが(削りすぎで失敗もありました)少しずつ削ってはセットして弦を張ってチェックしながら調整して下さい。まだちょっと高いかな〜・・状態でやめることをおすすめします。
 ローズウッド、エボニーなど木製ブリッジは年を経るごとに溝が深くなってしまいます。全体を削って溝を切り直すことで気に入ったブリッジは復活しますが、ブリッジ全体に付いているアール(曲率)に気を付けないと弦によってタッチが変わってしまいます。ボクは何度も失敗しています。でもフルアコ系楽器は木製ブリッジの方が深いサウンドになるので今でも苦労しながらも使っています。
 ソリッド、セミアコ系にはたいていブラス製のTune-Maticが付いていると思いますが、これはほとんどメンテナンスフリーです。

テールピース
 ボディー埋め込みのストップテールピースは高さが調整できるようになっています。上げるとテンションが低くなります。これは色々いじくって見て下さい。安全です。
 フルアコのようにテールエンドから引っ張るヤツはちょっとやっかいです。だいたいはフローティングブリッジになっているので、ブリッジの位置によっては弾いている内にブリッジが動いてしまうことがあります。これはテールピースの取り付け位置(角度)のせいです。調整は自分でやるのは危険です。楽器屋さんで相談した方が良いでしょう。

ピックガード
 ほとんど音には関係ありませんが、ボクは小指がちょっとピックガードにふれる感じで弾きますのでその位置は重要になってきます。ソリッドとフルアコではその位置関係(ディメンション)が異なり違和感がある時があります。でも、無理なくできる範囲を越えての変更はお奨めできません。ある程度のところで妥協し、慣れて下さい。

トグルスイッチ
 長年の使用で接点が錆びてきてノイズの原因となることがあります。交換で問題ないと思います。

ボリュームおよびトーンコントロール
 これらのパーツも長年の使用で接点が荒れ、ノイズを発生するようになります。交換が簡単なのですが音が微妙に変わってしまうことは覚悟して下さい。また、抵抗カーブ(ボリュームのあがり方)にいくつもの種類がありますので良く確認し、パーツを選んで下さい。接点復活剤というものがあって、それを吹きかけると一瞬にしてノイズは消えるのですが、少し時間が経つとより大きいノイズが出てしまいます。緊急避難的には使えますが、長期的にはお奨めしません。
 先日やってもらっったのですが、最近は交換せずに修理もできます。この方がコストは掛かりますが、音は変わりませんので、一考の価値があると思いますよ。

 色々書きましたが、メンテはまず信頼できる楽器屋さんのメンテをする人と直接仲良くなることがポイントです。ギタリストによって要求は様々なので言っていることを正確に分かってもらうことが重要です。
 メンテの基本は「慣れ」です。いじれるところを少しずついじって後は慣れてゆくのです。そして優しく大事に扱ってあげること。せっかくイイ楽器を手に入れても、ちゃんと手をかけてあげないと、だんだんと不機嫌になってしまうのだ!(本当に.....似てるでしょ?)

 いい楽器とイイ女性に巡り会い、上手に育ててゆけることを祈ります。Good Luck!